第一章
2014年9月9日午後の事。
三人の男が関越道を新潟方面から埼玉へと向っていた。
関越トンネルを過ぎ、いつもは谷川岳PAで休憩するのだが、その時は誰も休憩を取ろうとは言い出さなかった。
車が順調に上り線を進んでいた時、運転していた男の高機能携帯電話、いわゆる『スマホ』の着信音がけたたましく鳴り出した。
以前、運転中に携帯電話使用等(保持)でサツに捕まった事のある男は、しつこく鳴り続ける着信音を止まるまで無視していた。
しかし、誰から、何の用事で。頭の中は、そんな事でいっぱいである。
そこから少し走ると、確か次のPAが有ったはず。そうだ、そこで発信者に電話しよう。
案の定、数分走ると【下牧(しももく)PA】に到着した。
車を降りると、運転していた男はスマホの着信履歴を確認した。何日か前に完了した物件のクライアントからの発信であった。
第一章完
2015.04.02